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MTA覆髄治療
(歯髄保存治療)
に取り組んでいます

MTA覆髄治療とは、通常歯髄を取るような症例に対して、可能な限り歯髄神経を「残す」治療のことです。
虫歯が神経(歯髄)まで進行している場合は、歯髄神経を虫歯部分と共に除去するのが通法でした。しかし、歯の神経は一度除去されると二度と再生できないため、歯の寿命が短くなってしまいます。 MTA覆髄治療では、歯の神経が露出してもその部分をMTAセメントで覆うことで、歯の神経を温存することができます。
神経を取らずに治療することにより、歯の寿命を延ばすことができる可能性が高くなります。

MTAセメントとは

MTAセメント(プロルートMTA)は、1993年に米国ロマリンダ大学のDr.Mahmoud Torabinejadらによって開発された、殺菌性と封鎖性に優れた歯科用セメントです。1998年以降に欧米各国で、2007年に日本で発売が開始されて以来、多数の症例に使用されて高い臨床評価が得られています。
MTAセメントはケイ酸カルシウムが主成分で、人体への親和性や封鎖性、石灰化促進作用、デンティンブリッジ形成能、細胞反応活性化促進作用、抗菌性に優れています。

歯髄を守る意味とは

歯髄とは歯の神経・血管がある部分を指します。歯にかかる様々な刺激を感知するほか、虫歯菌に抵抗する免疫細胞が持つ防御機能などによって、歯を守る役割を担っています。そのため、歯髄を失った歯はもろくなってしまい、寿命が短くなってしまうのです。
人が歯を失う大きな理由の一つに「歯根破折」という症例があります。歯の根が折れてしまうという状態になりますが、歯根破折が起きる歯のほとんどは、歯髄を失った歯(失活歯)だといわれています。また同じく歯を失う原因となる「根尖(こんせん)病巣」や「根尖性歯周炎」などの病気も、根管治療などによって歯髄を失った歯で起きやすいです。

当院では、歯髄を失うことは歯の寿命を縮めることに直結しており、大切な歯を守るためには歯髄を残すことが欠かせないと考え、MTA覆髄治療(歯髄保存治療)を行っています。

MTA覆髄治療
(歯髄保存治療)の特長

歯髄を保存できる可能性がある

MTAによる覆髄処置により、通常であれば歯の神経を取るケースでも、神経を残せる可能性があります。

歯の切削を最小限に抑えることができる

抜髄処置(根管治療)を回避できることにより、歯を削る量を最小限に抑えることができます。

歯の寿命が延びる可能性がある

歯髄の保存により、歯の主要な喪失原因である、失活歯の歯根破折や根尖病巣を回避し、歯の寿命を延ばせる可能性があります。

生涯でかかる治療費用を抑制できる可能性がある

神経を失った歯は、経年的に根尖病巣の出現による再根管治療や被せ物の再製作が必要になることも多く、歯根破折等に起因する抜歯により、ブリッジやインプラント、義歯などの新たな治療が必要になる場合があります。MTAにより歯髄保存が可能であれば、生涯でかかるこれらの治療費用を抑制できる可能性があります。

治療上の注意点

適応症が限られています

MTAによる覆髄処置ができるのは、歯の神経が感染していない状態の虫歯(非感染生活歯髄)が適応症になります。何もしなくてもズキズキ痛む、温かい物で痛むといった歯髄が炎症していたり、すでに神経が死んでいたりする状態だと適応できません。MTA治療の可否は虫歯の状態を直接確認したうえで、判断していきます。

歯髄を保存できない場合もあります

MTAによる覆髄処置は、従来よりも高い確率で歯髄を保存できる治療法ですが必ず歯髄が保存できるというわけではありません。
患者さまの歯の状態によっては、治療後に歯髄の炎症が起き、抜髄処置が必要になる場合があります。

治療直後は多少しみることがあります

MTA覆髄治療の直後は、虫歯を除去したときの刺激や覆髄処置の刺激によって、一時的に歯が過敏になります。
冷たい物などでしみたりする場合がありますが、時間が経つにつれて軽減・消失していきます。

料金案内

精密う蝕処置 55,000円

※料金はすべて税込表記です。

MTA覆髄治療の症例

ラバーダムを用いた虫歯治療