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子供の歯を守るために

お子さまの乳歯が虫歯になると、永久歯が虫歯になる確率が10倍にも跳ね上がるというデータがあることをご存知ですか?
「いずれ生え変わるから」と乳歯の虫歯を軽く考える親御さまもいらっしゃいますが、将来自分でケアをするようになってから困るのはお子さまです。お子さまの歯をしっかりと守るためには、親御さまの歯についての理解と、お子さまの成長過程の変化に沿った正しい口腔ケアが重要となります。

定期的に歯科医院で行うプロフェッショナルケアと毎日のご自宅で行うホームケアを両立させて、お子さまの健やかな成長と健康な歯を保ちましょう。

歯科医院でのケア

ホームケアで落としきれずに残ってしまった汚れは、バイオフィルムとして歯に付着し、そのまま放置するとやがては歯石となります。歯科医院で行うプロフェッショナルケアとは、予防のプロである歯科衛生士が行う専門器具を使ってバイオフィルムや歯石を落とすというケアです。

また、ご自宅でのホームケアのために必要があれば、染め出し液を使ってみがき残しのチェックや、ブラッシング指導(TBI)も行っております。それ以外にも汚れが付きにくくなる処置があります。

4ヶ月に一度はプロフェッショナルケアを受け、お子さまの健康できれいな歯を残してあげるようにしましょう。

フッ化物(フッ素)塗布

歯を強くして虫歯菌の活動を抑える効果があるフッ素を歯に塗布する処置です。
フッ素は市販の歯みがき粉にも含まれていることがほとんどですが、歯科医院だとプロケアで汚れをしっかり落とした上で、濃度の高いフッ化物(フッ素)を塗布することができます。定期的に歯に塗布することで丈夫な歯を作っていくことができます。

フッ素塗布(高濃度フッ素) 1,100円

※料金はすべて税込表記です。

ご自宅でのケア

ホームケアで重要なのは、何と言っても「口の中を清潔に保つ」ことです。まずは虫歯の原因となるプラーク(歯垢)を作り出さないように決まった時間に歯を磨き、歯みがきの習慣づけをしていきましょう。
小学校3年生くらいになったら自分である程度歯みがきできるようになりますが、それまでは親御さまによるデンタルフロスを使った、歯と歯が接触している面をお掃除する仕上げみがきが必要です。
キシリトールやフッ素といった予防効果を高めるアイテムを有効的に活用してことも大切です。

お子さまの歯並びは一人ひとり異なるため、「こうすればいい」と決まった方法があるわけではありません。お子さまに合ったホームケアを続けていくようにしましょう。

仕上げみがきのコツ

お子さまが自分で使う歯ブラシとは別に、親御さまが使う仕上げ用の歯ブラシを用意して、1日1回はスキンシップも兼ねて親御さまによる仕上げみがきをおこなってください。仕上げみがきは、お子さまを仰向けに寝かせて頭を脚の間で固定しておこなうとやりやすいです。
歯ブラシはペンを持つように軽く握り、歯肉に強く当たらないように小刻みに動かすようにします。
子供は痛みに敏感ですが、歯ブラシを嫌がる原因の一つは「痛いから」です。
特に上唇小帯といわれる、上唇の裏側にあるひだに歯ブラシが強く当たると痛いので、上の前歯を磨くときは人差し指でひだを押さえてガードしましょう。
眠い時や疲れている時は無理にブラッシングはせずに、虫歯になりやすいポイントを重点的にサッと磨き、機嫌が良い時にしっかり磨くようにしましょう。

虫歯になりやすい場所

虫歯になりやすい場所は

  1. 奥歯の溝
  2. 歯と歯の間
  3. 歯と歯茎の境目

です。

1と3は歯ブラシで、2はデンタルフロス(糸ようじ)で虫歯の原因となりやすいプラーク(歯垢)を除去しましょう。
最低でも1日2回はキチンとプラーク(歯垢=細菌の塊)を落とすことが大事です。
特に「就寝前」と「朝起きてすぐ」がとても大事です。寝ている間は唾液の量が減り、細菌が増えやすくなります。その前にキチンと細菌を取り除きましょう。朝起きた直後はいうまでもありませんね。

生活習慣も正しましょう

虫歯は生活習慣が大きく関わります。

  • ジュースを飲んだり、砂糖を含んだお菓子を食べる回数が多い
  • だらだら食べをして長時間お口の中に食べ物が入っている
  • 口呼吸をしている

といった習慣は虫歯リスクを上げてしまいます。

規則正しい食生活、最低でも1日2回はキレイにプラークを取り除く、食後は食べかすと飲みかすを取り除いた後水で洗い流す、唾液をたくさん出すようにキシリトールのガムを噛んだり舌の運動をする、定期的に歯科医院でチェックを受けたり虫歯予防のフッ素を塗ったりすると良いでしょう。

親御さまへのメッセージ

乳歯の虫歯は永久歯にも影響します

『乳歯はいずれ抜けて生え替わるから、虫歯になっていても大丈夫』ではありません。
虫歯になった乳歯を放っておくと、乳歯の下で育っている永久歯の歯胚に影響するだけでなく、生えてきた永久歯まで虫歯になりやすい環境になります。

さらに、乳歯が虫歯になることにより、後から生えてくる永久歯のスペース不足を招き、永久歯の歯並びが悪くなる可能性が高くなります。
歯並びが悪くなるとプラークを落としにくくなるため、虫歯や歯周病になりやすくなります。美しい永久歯を手に入れるためには乳歯の健康が重要です。

また、乳歯を使ってよく噛むことで顎が成長して、永久歯の歯並びをキレイにすることができますが、虫歯があってよく噛めない、変な噛み癖がついてしまうなどにより顎の骨も十分に成長できず、永久歯が生えてくるスペースが確保できないため、歯並びが悪くなります。
乳歯の時期は、その後に生えてくる永久歯の状態を左右する土台となる時期ということをしっかり認識しておきましょう。

母子感染について

生まれたばかりの赤ちゃんは無菌状態で生まれてくるため、お口のなかに虫歯の原因となるミュータンス菌は存在しません。
しかし、生後19ヶ月から31ヶ月までの乳歯が奥歯まで生えそろう時期に、身近な人が使用したお箸やスプーンについた唾液を通じてお子さまのお口に虫歯菌が侵入してしまうと、虫歯になりやすいお口の環境になります。特に生後19~31ヶ月の期間は、乳歯が生えそろってきて虫歯菌が感染しやすい期間として「window of infectivity(感染の窓)」とも呼ばれています。

安心して子供に接するためにはどうすればいいのでしょうか?それは、お母さんはじめご家族のお口の中から、虫歯菌を減らしておくことです。赤ちゃんが生まれることがわかったなら、家庭内での感染を考えて早めに必要な治療を済ませ、セルフケアを丁寧に行い、定期的なプロケアを受けることが大切だといえます。

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