こんにちは。西宮市高松町「西宮北口駅」より徒歩1分にある歯医者「西宮北口 歯医者 H&L」です。
舌に痛みや違和感をおぼえた経験はありませんか。そのような場合、口の中を見てみると、腫れていたり、赤くなっていたり、白い苔のようなものが付着していたり、出血していたりと、何らかの異常が見つかることが多いでしょう。
問題は、舌に違和感が生じているのに、異常が見つからないケースです。舌痛症という病気があるのをご存じでしょうか。舌の痛みや違和感が舌痛症によるものである可能性があります。
ただし、舌痛症はそう頻繁に見られるものではないので自己判断は禁物です。舌痛症にはどのような特徴があるのか、どうしてそのような症状が現れるのかを知っておくことが大切です。どの診療科を受診すればよいかも気になるところでしょう。
今回は、舌痛症の原因や治療法などについて解説します。舌に原因不明の痛みがあるという方は、ぜひ参考にしてください。
目次
舌痛症とは
舌痛症とは、その名のとおり、舌に痛みを感じる病気です。舌痛症には次に挙げるような特徴があります。
症状の現れ方
舌に痛みや、しびれ、焼けるような感覚が生じます。痛みの強さは常に同じというわけではありません。食事中や何かを口にしているときなどは痛みが和らいだり、ほとんど感じなくなったりすることが多いです。
痛みが強くなりやすいタイミングもあります。朝起きたときには痛みが軽い、または感じないこともありますが、仕事や家事、さまざまな活動を経て夕方になると、痛みが強くなることがあるのです。
舌痛症は一過性の痛みではなく、持続するのが特徴です。症状が1日2時間以上続くこと、さらに3か月を超えて続くことがあります。そのため、なかなか改善がみられない場合には、歯科医院で相談することが推奨されます。
なりやすい人は?
中高年の女性に多いとされています。更年期以降の女性に発症しやすいため、ホルモンバランスの変化やストレス、心理的な要因が関与しているのではないかと考えられています。
目で見てわかる特徴はある?
舌を観察しても、明らかな異常が見つからないことが多いです。口内炎や潰瘍、腫れ、白い苔といった目立った病変がないのが特徴です。
類似した病気はある?
口腔灼熱症候群との共通点が指摘されおり、舌痛症を口腔灼熱症候群のなかのひとつであるとする考え方もあります。
口腔灼熱症候群の場合は、舌だけではなくお口の中全体に症状が現れ、口唇や歯茎、口蓋などを含みます。神経障害性疼痛のひとつと考えられ、神経障害、ストレス、ホルモンバランスの変化などが関わっています。のちほど詳しく見ていくように、舌痛症もこの点は似ています。
ただし、舌痛症の場合は、症状がお口の中全体ではなく、舌に限定されています。
舌痛症の原因
舌痛症のうち、一次性の舌痛症については原因が特定できないものの、神経障害や心理的な要因、ホルモンバランスの変化などが関与していると考えられています。二次性の舌痛症については、別の病気などが原因で起こることが多いです。
神経障害
舌痛症は神経障害性疼痛の一種と考えられ、舌やその周辺の末梢神経、または中枢神経系における痛覚処理の異常が関与している可能性があります。
例えば、三叉神経という顔面や口腔の感覚を担う神経に障害が生じると、実際には刺激がないのに舌が焼けるように感じることがあります。しびれやヒリヒリといった症状が現れることもあるでしょう。
心理的な要因やホルモンバランスの変化
心理的な要因やホルモンバランスの変化が原因になっていることもあります。更年期におけるエストロゲンの減少や、ストレス、不安、抑うつ状態などの心理的な要因が、痛みの感受性を高め、神経障害を強くする可能性があるのです。
口の中の乾燥
舌痛症の症状を訴える人の多くにドライマウスの傾向が見られます。唾液の分泌量が減り、口の中が乾燥すると防御力が低下して、神経が過敏に反応することがあるのです。そのため、湿度を調整する、マスクを着用する、ガムを噛む、といった乾燥対策がすすめられます。
別の病気などの影響
口腔カンジダや糖尿病、シェーグレン症候群、貧血、帯状疱疹後神経痛などが原因で舌が痛くなることもあります。不適切な義歯や金属アレルギーが原因で舌の痛みにつながることもあるでしょう。
また、亜鉛や鉄、ビタミンB群などの微量栄養素不足によって舌痛症が生じることもあります。特に亜鉛の不足は味覚障害と舌痛を引き起こすことが知られています。血液検査で亜鉛の値が低い場合には、亜鉛を豊富に含む食品またはサプリメントの摂取がすすめられます。
原因がわかっている場合は、それらを治療・解決することで舌の痛みが改善するケースもあります。
舌痛症の治療法
舌痛症の治療は次のように行われます。
薬による治療
舌痛症の治療でよく行われるのは薬物療法です。抗うつ薬には痛みの神経伝達を調整する働きがあります。うつ症状がない場合でも、舌痛症の症状を和らげる効果が期待できます。
また、神経障害性疼痛治療薬は神経の過敏な反応を抑え、痛みの軽減を図ります。抗不安薬や精神安定剤は、心身の緊張を和らげる作用があり、症状の悪化を防ぐのに用いられます。
栄養状態の改善
亜鉛や鉄、ビタミンB群などの微量栄養素が不足している場合は栄養状態を改善します。特に亜鉛は味覚や粘膜の健康維持に重要な役割を果たしており、不足すると舌の痛みや違和感が強くなります。
血液検査などで栄養状態を確認し、必要に応じてサプリメントの活用や食事指導が行われます。
心理療法
ストレスや不安、心理的な負担が症状の悪化に関与しているケースが少なくありません。そのため、カウンセリングや心理療法も有効です。
専門のカウンセラーや臨床心理士によるカウンセリングを通じて、抱える悩みや不安を整理し、ストレスへの対処法を身につけることで、痛みの感じ方が和らぐことがあります。
認知行動療法は痛みに対する過度な不安や恐怖を軽減し、日常生活を過ごしやすくする効果が期待できます。
漢方薬
漢方薬を使用することで症状が和らぐこともあります。漢方薬にはさまざまあり、患者さんの体質などに合ったものが処方されます。
カウンセリング
原因がはっきりしない病気なので、当事者の悩みは大きいです。気にしすぎているだけではないかと自分を責めることもあります。また、周囲の人に病気のつらさを理解してもらえずに悩んでいる人も多いです。
カウンセリングによって悩みを相談し、病気について丁寧に説明することで、つらい気持ちが楽になり、症状が穏やかになることもあります。
舌痛症の症状があるときは何科を受診する?
舌痛症が疑われる場合、一般的には歯科を受診するケースが多いでしょう。可能であれば歯科の口腔外科または口腔内科を受診できれば理想的です。
多くの歯科医院では口腔内のクリーニングや、補綴物の調整を行いますが、これによって舌痛が改善すれば舌痛症ではないと判断されるでしょう。
歯科または口腔外科・口腔内科では、いずれも正確な診断を行います。視診や触診で舌や口腔粘膜の異常を調べ、潰瘍、炎症、カンジダなどが見つかれば詳しく調べます。
もし、歯科で原因が特定できないときは、耳鼻咽喉科や内科、心療内科などが紹介されます。
例えば、症状が咽頭や喉頭などの広範囲に及ぶ場合は耳鼻咽喉科で検査するのがよいかもしれません。心理的な要因が関与している場合は、心療内科を受診したほうがよいケースもあります。
いずれの場合においても、最初に歯科または口腔外科・口腔内科を受診することによって、必要に応じてほかの診療科を紹介してもらうことができるでしょう。
まとめ
舌痛症は舌自体には異常がないにも関わらず痛みが生じるのが特徴です。舌痛症の原因は、現時点で明らかになっていません。
舌痛症が疑われる場合は、まず歯科医院(もしくは口腔外科や口腔内科)を受診し、炎症やカンジタといった一般的な舌痛の原因がないかどうかを調べます。必要な場合には、心療内科や耳鼻咽喉科などを紹介してもらいます。
患者さん一人ひとりの口の中を普段から観察し、口の中の状態を熟知している歯科医師にみてもらえれば安心です。定期的に歯科検診を受けるなどし、舌の痛みを含む口の中や口周辺のトラブルについて相談できる関係を築いておくとよいでしょう。
舌の痛みにお悩みの方は、西宮市高松町「西宮北口駅」より徒歩1分にある歯医者「西宮北口 歯医者 H&L」にお気軽にご相談ください。
当院は、生涯にわたる健康を重視して診療にあたっています。マウスピース矯正や予防歯科、インプラント、ホワイトニング、虫歯・歯周病治療など幅広く診療を行っています。