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なぜ根の治療後に歯が痛いという方がいるでしょうか?

歯髄とは

まずは基本的なお話から。

歯の中には「歯髄」と呼ばれる神経や血管を含む組織があります。
むし歯や外傷によって歯髄が感染したり壊死(えし)したりしてしまうと、
歯髄を取り除く「根管治療」が必要になります。

傷んだ歯髄を除去して、根管の内部を清掃し、再び感染を起こさないようにするため詰め物をします。


左のエックス線写真ではむし歯が大きく、歯髄の部分まで進行していました。
根管治療を行ない、症状が落ち着いたので根管充填したあとのエックス線写真が右です。

症状:詰め物が取れた
治療法:根管治療、金属冠による形態回復(保険診療)
通院回数:根管治療3回、期間3週間程度

 

 

炎症の原因

歯髄の炎症の原因は深いむし歯、歯の破折・亀裂、外傷などです。
炎症や感染をそのまま放置しておくと歯が痛んだり、根の周囲の組織に炎症が広がったり、歯肉が腫れたりします。
場合によってはリンパ節が腫れたり、発熱など全身に影響を及ぼすこともあります。

 

 

治療の流れ

手順としては、
①ムシ歯になった部分を削り取って、歯の神経(歯髄)のあるところまで穴をあけます。
②ばい菌が侵入し変質してしまった歯髄を除去して、
③神経の通っている穴(歯髄腔)と、それにつながる根の中の管すなわち根管の壁を少し削りながら、 全体をきれいに清掃します。
④その空間をすき間なく害のない材料で満たし(根管充填)歯にあけた穴の部分も金属などで補強し塞いでしまいます 。 歯が今後長く機能する為の基礎工事がこれで終了したことになります。
⑤治療後はかみ合わせなどの外力により割れやすくなります。
そこでかみ合わせの力を分散させるために歯を削って歯をおおいかぶせる治療を基本的に選択します。


症状:歯がしみる
治療法:根管治療、オールセラミックスクラウンによる形態回復
通院回数:根管治療2回
費用:根管治療110,000円、オールセラミックスクラウン66,000円
(前回のブログの症例です。院長ブログ 詰め物の下は・・・


歯髄腔の形や根管の数や形は、歯の状況により皆違います。 しかもこの作業は狭い口の中で、かつ直接みることの難しい歯の中での10ミクロン単位での細かい作業です。

こちらもご覧ください。
にしきた歯科ふちがみ 根管治療


なぜ根の治療後に歯が痛い?

根の治療で歯の内部の神経は取り除きますが、歯のまわりにも神経があります。
根の治療後程度の差はありますが、このまわりの神経に一時的に痛みが出たり過敏になったりすることがあります。
もともと痛みが続いていた歯の場合は、 しばらく痛みが続く場合もあります。


また、口の中から根管に細菌が入って増殖すると、根の先端の歯髄の入り口を通ってからだの中に細菌が広がります。 細菌などが入ってくるとからだは免疫反応で対応します。

感染が強い場合は比較的早期に腫れたり痛みが出たりします。
しかし、根の中の感染はからだに対して弱い慢性的な刺激となることが多いため、 からだは内部に細菌が入ってこないように堤防のような防御帯を作ります。
これが根の先にできる病気(根尖病変)としてエックス線で確認されます。
根の先の周りの骨が溶けるので、エックス線写真では黒く写ります。 多くの場合、病気の初期の段階では症状はありません。

原因は根の中の細菌などの感染なので、
根の中を掃除する根管治療が治療の第一選択になります。


左のエックス線写真で根の先端が黒く見えている部分を再度根管治療を行ない、
しっかり清掃消毒をして、症状が落ち着いたので根管充填をしたあとが右のエックス線写真です。

症状:咬んだ時に違和感がある。
治療法:根管治療、金属冠による形態回復(保険診療)
通院回数:4回 期間4週間


骨の中で膿がたまり、歯茎にプツっとできものができる場合もあります。
根尖病変が原因の場合は根管治療を行うことによって治癒します。

治療前↓

治療後↓

症状:歯茎が腫れている(痛みなし)
治療法:根管治療(保険診療)
通院回数:4回


歯をできる限り永く保存するため根管治療は大切な治療です。
通院回数がかかりますが、
途中で中断したりしないよう治療完了まで頑張りましょう!